オスロからの道中(空中)、ただひたすらに窓の外を眺めている。けれども一向に雲の上なもんだから、下の景色は全く見えない。
着いたら丁度お昼くらいか、、やっぱ雪は降ってるのかな。街まではどうやって出ればいいのだろう。っていうか、通貨ってそういや何なんだろう。時間はドイツと一緒?英語は通じる?ノルウェー語ってあるのかしら。などと、自分がトロムセーどころかノルウェーについても全く下調べをしていないことにやんわりと気付く。
壮大な自然に憧れて来たは良いけど、ほんとにとんでもなく壮大だったらどうしよう、などと思い始めていた。
そして、とうとう飛行機降下のアナウンスが流れる。
飛行機が雲を破った。
私は息を飲んだ。
あまりにも景色が美しすぎたのだ。
スノーマンというイギリスのアニメ(もともとは絵本)をご存知だろうか?台詞がなく、絵と音楽だけで物語が進んでいくのだがとにかく美しい。その中に、空を飛んで北極へ旅するシーンがあるのだが、私はこの時、その美し過ぎるシーンを思い出していた。これはスノーマンの世界だ、スノーマンの世界に来てしまった!と本気で思った。
そして同時に、
「いやあこれは、ひょっとすると大変なところに来てしまったかも知れない」
と、思ったのだった。
雪が積もり過ぎている。
さっきまで薄着だった殆どの乗客達が、着陸サインと同時に慣れた手付きで一斉に着込み始める。ははんさては皆地元の人だったのね、私は初心者だわよ、と少しだけ泣きそうになる。
もう一度言わせてほしい。雪が積もりすぎている。
パスポート等一切見せず、機内から直ぐに空港ロビーに出れた私は、取り敢えずWi-Fiを繋げた。
兎に角わからない事だらけなのだ。
さっきから考えないようにしていたが、今はお昼の12時の筈なのに、なぜ外が暗いのだろう。
先ずはその前に今日の天気を調べようと思い、天気のページを開いた瞬間、私はあっと声を上げた。
太陽のマークが無い。つまりずっと夜ということになっている。
まさか、、、
そう、私はなんと白夜の逆、極夜(ポーラーナイト)の街にやって来てしまったのだった!それも、全く知らずに。
心を落ち着けようと、ATMで現金を少しだけ引き出す。再びたまげた。そこから出て来た紙幣に印刷されていたのは、 "ノルウェーの偉い人" では無く" ノルウェーのお魚さん "であった。
10年後に来たら、その時は魚じゃなくてイカになってるかもな、と私はお札を見つめながらぼんやりと考えていた。
写真:ATMにて小さな衝撃(ノルウェー、トロムセー空港にて)
色々と調べ物をしていた私は、とても小さなバス&タクシー乗り場に向かった。が、バスもタクシーも皆無。
カウンターへ戻り尋ねると、どうやら飛行機の発着時に合わせてバスとタクシーがやってくるそうで(早い者勝ちだよと教えてくれた)、それまで気長に待つべしとの事だった。
外は相変わらず暗い。
インスタでスクショしただけの街に、未調査で潜入するって、思ってたよりもレベル高いなぁと再び興奮しながら、次に到着する車(バス又はタクシー)を気長に待つ私なのであった。
〜続く〜
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